シティ・モビリティ

【Vol.85】大型トラック脱炭素への展望と課題 〜日欧米の比較と今後の展望〜

上級研究員 水上 義宣

I.はじめに

トラック輸送は、日本の貨物輸送の9 割を担っており、脱炭素化が重要な課題となっている。普通貨
物自動車の平均使用年数は約18 年で、2050 年カーボンニュートラル達成には2030 年代前半には新規
購入されるすべてのトラックを脱炭素化に対応した車両にする必要があると考えられる。

Ⅱ.脱炭素に向けたパワートレイン

自動車の脱炭素化には、蓄電池電気自動車(BEV)、水素燃料電池車(FCV)、カーボンニュートラル
燃料(CN 燃料)がある。BEV は重量が重く航続距離が短い。FCV は燃料タンクが大きく荷室が狭くな
る。CN 燃料は電気や水素より生産価格が高い。それぞれの充電・充填・供給の可能性も検討が必要だ。

Ⅲ.日欧米における脱炭素目標と動き

BEV、FCV、CN 燃料等の課題とエネルギー供給の可能性等を踏まえ、日欧米は大型トラックの脱炭
素に向けた政策等を進めている。日本、EU、アメリカ合衆国における、新車販売規制、充電・充填イン
フラの整備目標、技術開発等の動き、経済性の予測について解説する。

Ⅳ.日本における大型トラック脱炭素の課題

BEV は航続距離が短いが、運転手に義務付けられている休憩時間に超急速充電ができれば、生産性を
損なわない。ただし、車両重量が重いため、橋梁等道路の改修を要する。FCV は、水素ステーションが
保安上面積や設備を必要とし費用も高いため、充填網の整備が大きな課題となる。

Ⅴ.おわりに

日本では FCV が大型トラックの脱炭素化の中心とされているが、充電・充填インフラの整備や経済
性予測を考慮すればBEV も選択肢とすることが必要と考えられる。

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