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【Vol.80】1.ワーク・エンゲージメントの向上を心理的安全性とフォロワーシップから考える

主任研究員 大島 由佳

I.はじめに

少子高齢化が進む日本の職場では、人手不足により「従業員の働きがいや意欲の低下」が起こっている。本稿では、働きがいをワーク・エンゲージメントの概念で捉え、高いワーク・エンゲージメントで働ける職場の実現方法について、心理的安全性とフォロワーシップという2つの概念に着目して考える。

II.ワーク・エンゲージメントとは?

ワーク・エンゲージメントとは仕事に関連するポジティブで充実した心理状態で、活力・熱意・没頭の3つが揃った状態である。「仕事の要求度-資源モデル」によるとワーク・エンゲージメントは、「仕事の資源」(個人に付与される裁量、上司や同僚からの支援など)と「個人の資源」(自己効力感など)の2つの資源の増加と、「仕事の要求度」(仕事のプレッシャー、精神的・肉体的負担、役割の過重など)の適切なコントロールにより向上する。

III.多様な従業員が高いワーク・エンゲージメントで働ける職場とは?~心理的安全性とフォロワーシップから考える~

2つの「資源」の増加と「仕事の要求度」の適切なコントロールに資する概念に、最近注目されている「心理的安全性」(対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる職場環境であること)と「フォロワーシップ」(指示命令に効果的に従い、リーダーの努力を支援する能力)がある。フォロワーシップは、なかでも、上司やリーダーの考え方に対して、能動的、先回りして、示された枠を超えて果敢にチャレンジする「プロアクティブ型」のフォロワーシップの有効性が高いと考えられる。

IV.「心理的安全性」と「フォロワーシップ」を生むリーダーシップとは?

職場に心理的安全性をもたらし、フォロワーをプロアクティブ型へ成長させるには、リーダーシップによる後押しが欠かせない。個人を受容・尊重し、個人が企業と自身の各パーパス(目的)の接点を見出し、企業のパーパスのフォロワーになるよう対話し導くリーダーシップが企業には求められている。

Ⅴ.むすび

今後も職場に集う人材の多様化が予想される。従業員が高いワーク・エンゲージメントで働けるように、企業は、適切なリーダーシップの発揮により、心理的安全性が確保され、プロアクティブ型のフォロワーから構成される職場作りをますます求められるだろう。

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