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【Vol.78】4.オランダにおける健康保険・介護保険制度の改革動向と特徴

ファカルティフェロー 小林 篤

I.はじめに

オランダは、早くから公的介護保険制度を創設し、公的健康保険に管理競争を導入するなど、極めて特徴的なヘルスケアに関するサービス(医療介護)の改革を継続的に行ってきた。オランダの取組は先進諸国の制度改革における参考にされることが多々ある。オランダの健康保険・介護保険制度の改革動向と特徴はどのようなものなのだろうか。

II.2006年ヘルスケアサービス(医療介護)改革の沿革

2006年ヘルスケアサービス(医療介護)改革では健康保険者に管理競争が導入された。もう一方で、伝統的に病院等のヘルスケアサービス供給者には新規参入制限・抑制的価格規制が行われてきた結果、病院受診の待機者が生じるなど問題が生じたため、ヘルスケアサービス提供者についても需要者主導の競争を導入する自由化・規制緩和が実施された。2006年改革のヘルスケアサービス(医療介護)システムでは、第一層公的介護保険、第二層公的健康保険、第三層補完的な私的保険の三層構造になっている。第二層の公的健康保険で、社会保険で私的保険者が公的保険者になっている点はオランダ流の独自・独創的な点である。

III.2015年ヘルスケアサービス(医療介護)改革

財政的に深刻な状況に陥った結果、持続可能性を確保するとの危機感から介護分野と医療分野の両方に関わる介護サービスの包括的改革が実施された。地方自治体が重要な役割を担う分権化の進展およびコストを公的財源から民間・私的財源にシフト、施設のケアをホームケアに二次医療をプライマリーケアに代替するなどの手法を駆使したコスト抑制策が推進された。

IV.ヘルスケアサービス(医療介護)改革の進行状況

2006年改革は、ヘルスケアサービスのコスト抑制の観点からは、成功したとは言いがたいと評価されている。2015年改革により介護サービス関係の支出増加は、横ばいになった。

V.健康保険・介護保険制度の改革動向と特徴

健康保険改革の動向では、その独自性と独創性、当事者の行動特性・インセンティブに着目した改革という特徴がある。介護保険制度の改革動向では、財政的な問題に関する危機感が最も大きな起動力になり、体裁などにこだわらない手段で現実的実際的な課題解決を進めているという特徴がある。

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