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【Vol.77】7.米国損保のCX強化・新たなチャネルの動き

主任研究員 廣岡 知

I.はじめに

本稿では、世界最大の損保市場である米国における販売チャネルの最新動向を紹介する。第II章にて、コロナ禍の影響も含めた米国の消費者全体の購買トレンドの変化を小売業全体のデータから概観し、主要な小売事業者の取組を紹介する。第III章以降では、消費者の購買トレンドの変化に対応する米国損保におけるチャネル再編やCX(カスタマーエクスペリエンス)強化の動きをとりまとめる。

II.消費者トレンドの変化・小売業界の動向

米国では、コロナ禍により消費者のオンライン購買が加速し、また購買トレンドも変化している。Amazonのようなeコマースが伸長する中で、一部の実店舗中心の小売事業者ではデジタル技術を活用してCX向上をはかり、実店舗の強みとオンラインを組み合わせて売上を伸ばしている。

III.損保におけるオンラインシフト・InsurTech出現

個人自動車保険では、ダイレクト・レスポンス(直販)が大きく伸びてきており、オンラインにシフトしている。代理店チャネルの強いホームオーナーズ保険でも、InsurTechが出現し、高いCXを提供している。

IV.保険会社のデジタルへの注力、課題

保険会社も、小売業界同様、ここ数年デジタル化に取り組んできた。しかし、販売体制が代理店中心ということもあり、電話・メールによるコミュニケーションでは顧客の期待水準を一定充足しているものの、Webサイトやオンラインチャット等の接点については消費者のトレンド・期待水準に対応できていない。

V.CX強化・新たなチャネルの取組み

損保においても、最近ではCX強化の意識が高まり、取組が進んでいる。また、商品に関わる情報を比較検討したいという消費者の意識・行動の変化と相まって、独立代理店が注目されてきており、NationwideやAllstateは新たなチャネル再編の動きを見せている。

VI.コロナ禍を踏まえた加速、さいごに

損保においても小売業にみられるように、コロナ禍により加速する消費者のトレンドの変化を捉え、顧客に対応する販売チャネルを再編・構築し、CXを高めることは不可欠である。保険は目に見えない、且つ、複雑な商品であり、代理店を主要チャネルとする保険会社では、顧客に対してアドバイスや情報提供を行い、デジタル技術を活用して顧客の利便性を高めることが勝ち残っていくために必要である。

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