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【Vol.76】4.盛り上がるデジタル通貨を巡る議論と今後の展望~発行が目されるデジタル人民元を中心に~

主任研究員 菊武 省造

I.はじめに

2019年以降、Libraやデジタル人民元などデジタル通貨に関する話題が耳目を集めている。本稿では、通貨のデジタル化を巡る足元の動向やその背景について示した上で、デジタル通貨の今後を展望する。

II.CBDCとは何か

CBDCとは、中央銀行が発行するデジタル通貨であり、いくつかの類型に分かれる。個人や企業にとって身近なのは、スマホアプリ等に中央銀行から電子的通貨がチャージされるトークン型CBDCである。

III.デジタル通貨が現実性を帯びるようになった背景

デジタル通貨の可能性が高まった背景として、ブロックチェーン技術の開発やグローバル・プラットフォーマーの誕生という環境要因と、国際社会における米国の緩やかな地位低下といった構造要因を指摘できる。

IV.注目すべき発行主体の動き

FacebookのLibraは、国際的な批判も多く、現時点で発行の見通しは立っていない。中国のデジタル人民元は主要国初のCBDCになるとみられる。一方、最近になって日米欧もCBDCの研究を積極化している。

V.今後のシナリオ

デジタル人民元は、当面は国内リテール決済にのみ用いられると想定されている。ただし、中長期的にデジタル人民元の海外利用が進めば、国際金融秩序に大きなインパクトをもたらし得る。

VI.おわりに

日米欧の主要国は、デジタル人民元の海外利用も視野に入れた対応に今から着手する必要があろう。日本には、基軸通貨国である米国をうまく巻き込むことも含め、国際連携の舵取り役となることが求められる。

※本稿は、主に2020年2月末までの情報に基づき作成したものである。

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