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【Vol.75】1.ビジネス・エコシステムとは何か

フェロー 隅山 正敏

I.はじめに

ビジネスの世界で「エコシステム」という言葉が良く使われているが、様々な局面で補足説明もなく使われることが多く、受け手(受信者)は使い手(発信者)の込めたメッセージを読み解く必要がある。

II.エコシステムはどう使われ始めたか

ビジネス用語としての「エコシステム」は、1990年代に「共に成長する企業群」という意味合いで使われ、2000年代に「イノベーションを目指す企業群」という意味合いが、2010年代に「プラットフォーマーの築く経済圏」という意味合いがそれぞれ加わり、多様な意味合いを持つようになった。

III.エコシステムはどう使われているか

「共に成長する企業群」は当初、サプライチェーンの意味合いで用いられた。「オープンイノベーション」の概念が普及するにつれて「イノベーションを目指す企業群」を指すようになり、また、イノベーションの成果を用いた「起業・スタートアップ」に関連して「起業を生む場」としても使われるようになり、メッセージを読み解く際にも「オープンイノベーション」や「起業・スタートアップ」に関する知識が必要になっている。更に「プラットフォーマーの築く経済圏」や「製品・サービスを際立たせる企業群」という意味合いも加わり、それらを読み解く際の「キーワード」も多岐に及んでいる。

IV.エコシステムをどう築くか

上記IIIの「キーワード」をエコシステム構築の観点で再整理すると、次の3つのステップが浮かび上がる。すなわち、第1に、自社の事業を「ソリューション」で定義し直し、それにそって自社の市場(顧客層)も再定義する。第2に、築こうとするエコシステムが「ネットワーク効果」を発揮するように、構成員の相互関係(ソリューション志向・インセンティブ設定)を設計する。第3に、再定義した市場(顧客層)に浸透する上で「不足するパーツ」を供給する企業と連携してエコシステムを築き、「製品・サービスの新たな組合せ」を主体とするイノベーションを目指す。また、企業間の関係を緩やかなものに保ちつつ、ビジョンとデジタル化で求心力を働かせる。

V.おわりに

エコシステムを読み解く際の「キーワード」は、最近のビジネストレンドを反映しており、「エコシステムとは何か」を考え続けることが自社の経営戦略を磨き上げる上で有用になっている。

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